立憲民主党の「要望書」は小規模事業者を救うものにはならない
インボイス制度(適格請求書等保存方式)と言われても、一般にはなじみがない。
これは、消費税の仕入税額控除を受けるための要件の1つとして、適格請求書発行事業者が交付する「適格請求書」を保存していなければならないという条件がある。そして、免税事業者は適格請求書を発行することができないから、仕入税額控除の適用を受けようとする事業者は取引先として免税事業者より課税事業者(適格請求書発行事業者)を選ばざるを得ない。
このことは実質的に仕入税額の控除を受けているような小規模事業者との間での仕出しや仕入といった取引を排除し、否応なしに課税事業者になることを強制するものに他ならない。
したがって本来であれば免税とされるはずの小規模事業者が、否応なしに課税事業者に置き換えられていくドミノゲームであり、それで成り立たない事業者には廃業を迫る攻撃に他ならない。
立憲民主党が申し入れた「インボイス制度の導入延期と改善を求める要望書」では、コロナ禍という事情を考慮して、その延期と経過措置を求めている。
しかし、これはインボイス制度の導入そのものを前提としたもので、小規模事業者にとって根本的な救済策ではないということである。コロナ禍というのは新たに加わったマイナス要因であり、コロナがなくてもこの制度が導入されれば、中小零細事業者やフリーランスが受ける打撃は極めて大きいのだ。
そもそも、インボイス制度導入のもとになっているのは消費税であり、2019年10月1日からの消費税10%への引き上げとそれに伴う軽減税率の導入である。そしてこれ自体も2013年10月1日の安倍晋三による消費税率の8%への引き上げとそれによる経済の悪化が招いた必然的結果であった。
消費税に言及しない「インボイス制度」の延期要求では何も問題は解決しない。