アベノミクスとは1%の巨大資本の利益の為に、民衆を奴隷の道に叩き込む新自由主義政策だ
安倍首相はトップセールスと称して、この2年の間に7兆円にも及ぶ海外経済支援をばら撒き続けてきた。ここには日本の上位企業・多国籍資本とそのグループの経営陣が同行した。一方では金融緩和によって紙幣を大量に吐き出し、それを世界に撒き散らす。これとセットで鉄道・港湾・道路等のインフラの整備、原発輸出、防衛協力と言う名の武器技術の開発・輸出等の協定が結ばれ、或いは詰めの協議が行われてきた。
国内における復興支援、汚染水・原発事故処理を放置し、中小零細企業の倒産、非正規化と失業による貧困層の増大を尻目に一握りの大資本が空前の利益を上げる、徹底した弱者切捨ての政策こそがアベノミクスの本質である。まさに新自由主義そのものである。
金融緩和によって大量の国債が日銀の直接引き受けとして発行され、海外の投資家の手に流れている。国債とはいうなれば人民が将来に亘って払うべき税金を当て込んだものでしかない。いまや、それは1000兆円を超えようとしている。財政規律が不安定になれば海外の信用を失うのは時間の問題である。
景気回復の際立った見通しも材料も無い安倍政権が取るのは闇雲な消費税の10%引き上げであり、一度、政府が人民の生活を無視した税の引き上げに踏み切れば、それはパンドラの箱のように15%、20%と堰を切ったような増税攻撃にならない保障は無い。軽減税率は何の歯止めにならないばかりか、更なる増税の逃げ口上にすらされるに違いない。
国内における格差の拡大と貧困化・失業や不安定雇用の増大は鬱積した大衆の不満を爆発せずにはおかない。今日、日常的なストレスを背景としたような事件が多発している。これは労働者・民衆の中に組織された力として、自己の怒りを政治的に発現する場も方途も奪われているからに他ならない。個人的な憤怒として歪められた形でしか表現できないのだ。大衆の怒りを組織された政治的闘いに結集する能力を持った左翼的政党が存在しないことが最大の問題であり、課題である。大衆の自然発生的、経験的な憤激をつなぎ合わせる粘り強い闘いと、権力の攻撃、その意図に対する時を逸しない暴露が重要である。
労働者階級の力が如何に弱かろうとも、権力はその嗅覚によって予防反革命的に治安弾圧法規を作り、労働者派遣法を初めとする労働法の改悪を行って階級の団結を分断しようとしている。
注意しなければならないのは、日本共産党が主導するデモや集会もまた、大衆の怒りを引き出すのではなく議席を増やすための仕掛けでしかないという事を十分留意しなければならない。
さらに、秘密保護法や集団的自衛権行使容認の閣議決定は、こうした脈絡の中で一体的に把握しなければならない。
つまり、海外に現地法人をつくり現地の労働者を収奪しながら、ODAや円借款という形でばら撒かれた資金を大資本の利権として回収する、今日における海外侵略は時として紛争国、或いは潜在的紛争国をも対象にしながらすざましい勢いで進んでいるのだ。こうした現実を背景に日帝にとっては「邦人を守る義務」が要請されているのだ。日帝は大資本の権益を守るためには、膨大な人民を塗炭の苦しみに叩き込み、殺し、迫害することをも厭わない。これは自国の民衆に対しても、他国の民衆に対しても変わらない態度なのだ。だからこそ、一握りのための利権を守るための戦争に反対するのである。
アベノミクスはあれこれの個別政策のつなぎ合わせでも、第一の矢~第三の矢といわれるような単なる経済・財政政策ではない。巨大資本の利益をとことん貫くために、それ以外のすべてを見捨て犠牲にする政策である。
円安によって、原材料費が高騰しても価格に転嫁できず、しかも熟練労働者を簡単に非正規に置き換えることもできない中小業者。
輸入でまかなわれる飼料や機材・光熱費の高騰でバターも作れない畜産農家、採算の取れない低価格米を強制される米作農家…
利益追求とぎりぎりの人員によって、24時間ケアが思うに任せず患者の治療よりも、兎も角事故を起こさない事だけを考えるのが精一杯という高度医療の現場。
反原発、沖縄… すべてがアベノミクスという新自由主義によって切り捨てられ、破壊されようとしている。これを許していいのか。
【安倍政権のバラマキ外交】
年月 | 対象国 | 単位(億円) | 内訳 | 注釈 |
2013.1 | ベトナム | 466 | 円借款 | |
2013.4~5 | サウジアラビア | 2160 | 地域安定化、民主化支援 | ロシア、サウジアラビア訪問。出光 興産、コスモ石油、JX日鉱日石エネルギーなどの石油元売大手、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、三菱商事など商社やゼネコンが同行、安倍首相はサウジアラ ビアで中東・北アフリカ諸国に対する地域安定化支援および民主化支援として、総額2160億円の支援をおこなうと表明 |
トルコ・アラブ首長国連邦 | 原子力協定 | 経団連会長など118企業・団体から383人が同行(IHI、大林組、大成建設、東芝電力システム社、東洋エンジニアリング、日揮、日立GEニュークリアエナジー、日立製作所、日立造 船、三菱電機、三菱マテリアルと、日本原子力学会(原子力村)の賛助会員が11社)、トルコ、アラブ首長国連邦と原子力協定で合意 | ||
2013.5 | ミャンマー | 2000 | 円借款の返済免除 | 1月に発表した返済免除額とあわせ、およそ5000億円。 |
910 | ODA | 43企業・団体、117人。名古屋大学などの大学、NEC、日立製作所、三井住友銀行、三菱東京UFJグループ、住友商事、丸紅、三菱商事、IHI、東芝、三菱重工、伊藤忠、鹿島建設、前田建設、大成建設、日揮などが同行。 ミャンマーが外資導入と雇用創出のモデルと位置づけているティラワ経済特区に日本企業が独占的に参入、4月に三菱商事、丸紅、住友商事が合弁でエム・エム・エス・ティー有限責任事業組合を設立。現地政府を迂回させる形で日本政府がODAや円借款で資金を提供し、その港湾整備や道路整備、開発利権を日本の商社、ゼネコンが受注 |
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2013.8 | 中東 | 59 | シリア難民の支援(追加) | 中東のバーレーン、クウェート、カタール。92企業・団体、210人が同行。 |
2013.9 | 国連総会 | 3000 | 資金提供 | 女性の保健医療や紛争下での権利保護 |
2013.11 | ラオス | 90 | 円借款 | 国際ターミナル拡張支援 |
2013.12 | ASEAN首脳会議(東京) | 2兆円/5年 | ODA | 災害に強い道路や堤防の整備に3000億円、1000人規模の人材育成、鉄道・空港などの大型インフラ整備、巡視船の供与 |
ミャンマー | 632 | 円借款 | ||
ベトナム | 1000 | 円借款 | ||
2014.1 | モザンビーク | 700 | ODA | |
インド | 2000 | 円借款 | 地下鉄建設等 | |
2014.3 | ウクライナ | 1500 | ODA | G'7の支援に同調、うち3億5000万円はチェルノブイリ支援。 |
ベトナム | 1200 | 円借款 | ||
2014.5 | バングラデシュ | 6000 | ODA | |
アフリカ | 3.2兆円/5年 | 政府支援 | 岸田外相が日本が世界銀行や国連と共催するアフリカ開発会議に出席 | |
2014.7 | パプアニューギニア | 200億円/3年 | ODA | 首脳会談。①液化天然ガスの安定供給確認 ②集団的自衛権行使容認を閣議決定への理解求め、見返りにインフラ開発支援を約束 |
中南米5カ国 | メキシコ、トリニダード・トバゴ、コロンビア、チリ、ブラジル歴訪。約100の企業・団体が同行。メキシコでは経団連が「日メキシコ経済協議会」を開催、日本の自動車メーカーなどが進出を計画している製造工場や部品工場の建設事業をPR | |||
キルギス | 120 | 円借款 | 岸田外相、民主化と市場開放支援 | |
2014.9 | インド | 3兆5000億円/5年 | 官民投融資 | 日印共同声明。①インドに進出する日系企業の倍増 ②日印安全保障協力の強化 ③日本からの原発関連輸出を可能とする原子力協定の早期妥結に向け交渉を加速させること |
スリランカ | 137 | 円借款 | 首脳会談、海洋安全保障分野での連携強化。 | |
気候変動サミット | 17400 | 供与 | 途上国の災害対策援助 | |
国連本部 | 43 | 追加支援 | エボラ出血熱ハイレベル会合 | |
55 | 中東支援 | 「イスラム国」の脅威に対する秩序安定 |