正道有理のジャンクBOX

経験から学ぶことも出来ないならば動物にも及ばない。将来の結果に役立てるよう、経験や知識を活用できるから人間には進歩がある。

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原発は「安全性」が問題なのではない

何故事故が起きたか、どんな事故だったかなどと言うのは技術者や電力会社で勝手にやってくれ。東電・政府・マスコミがそこに焦点を当てたがるのは、原因究明⇒安全対策⇒原発継続という世論誘導だ。
 原発に反対する人の中にも地震津波を問題にし、活断層の上だから危険だ、津波の高さの想定が低いなど安全対策が十分でない事を指摘する人もいる。しかし、これらはすべて原発の継続=再稼働を前提にした話であり、こうした論調に惑わされてはならない。スリーマイル島チェルノブイリ原発事故が地震津波で起きただろうか。どのようなシステム、プラントでも事故は必ず起きる。そして、大事故につながる場合には複数の要因が連鎖的あるいは複合的に関わってくる場合が殆どといってもよい。だから「こんな筈ではなかった」「想定外だ」と言うのである。
 1955年「大規模原発における大事故の理論的可能性と結果」(ブルックヘブン報告)、75年のラスムッセン報告、また日本でも1960年に科技庁が原子力産業会議に諮問し作らせた報告がある。いずれも原発推進の立場から災害規模や損失額を試算している。これら報告は大事故の確率は一基10万年~10億年に一度だとしている。だが、それから50年足らずで既に3回も大事故が起きたではないか。一方で報告は一旦大事故があった場合、どれ程恐ろしい(チェルノブイリ福島第一原発で起きた以上の)事態になるかも同時に示している。しかし、そうした事故によってもたらされる放射能被害から人と環境をどう護るかは世界中のどの政府も、どの科学者も明かにしていない。つまり、今日の科学では放射能から人類と環境を護ることはできないのだ。