正道有理のジャンクBOX

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集団的自衛権を認めれば戦争への道は必至だ

民主党岡田克也最高顧問は集団的自衛権をめぐる国会質問で、閣議決定の前に国会で十分な議論が必要だと政府を追及した。それ自身は間違いではない。しかし、考えてみよ。日本版NSCと秘密保護法を成立させた時から、こうなることは目に見えていた筈だ。

 
 日本国家としての最高意思決定が、閣議決定や国会審議に優越するものとして位置づけられた機関、それが日本版NSCなのだ。果たして、「集団的自衛権憲法解釈を変更する」という決定が日本版NSCで行われたかどうかは知る由もない。なにせ、ここでの決定はいつ、どのような論議が行われたかは一切秘密なのだから。
 そして、閣議決定もその追認に過ぎない。国会審議は関連法案を通すための手続きでしかないのだ。

 日本版NSCがどの程度機能しており、どのような意思決定をしているかは定かではないが、少なくとも安倍政権がこの法案を提出した時点で、それまでの閣議や国会を超越した集権的な権能をもった機関の創設を考えていたことは明らかであり、立憲政治の否定、国会の空洞化も極めて意図的に行われているのだ。
 戦前においては、中国への軍隊の進駐=侵略をはじめ、その後の日本の進路を決定付ける重要な方針が五相会議で秘密裏に決められた。わが国会議員たちは、それと同じような権限を安倍晋三に与えてしまったのだ。

 ところで、集団的自衛権を認めてしまった時、どのような事態がそうていできるだろうか。尖閣諸島などをめぐる中国との軍事的緊張を一気に高めるに違いない。偶発を装った衝突も起こりうる。現在、アメリカは日中双方に慎重な対応を求めているが、実際に衝突が起こってしまった時、重大な選択を迫られるだろう。その際、日米同盟を維持する限り、最終的には日本に同調せざるをえない。日本がアメリカを巻き込んで中国と交戦する事態になれば、ロシア、EUを含む第三次世界大戦への道に直結する。
 安倍政権が進もうとしている道は極めて危険なものだ。戦争が予定調和的に行われることは少ない。既成事実が先行し、そのもとに社会全体を暴力的にたたき込んでいくのである。